育休復帰のたびに、早番・遅番・夜勤が足りなくなる。そんな悩みを抱える介護施設は多いはずです。私が施設長を務めていた介護施設でも、同じ状況に直面しました。解決の鍵は、時短勤務だけに頼らない復帰プランの提示でした。週休3日正社員という選択肢を用意したところ、育休復帰者4人中3人がこの働き方を選びました(参考値)。本記事では、その実例と背景をご紹介します。

この記事を書いた人

週休3日の専門家

株式会社週休3日 代表取締役 永井宏明。介護施設の施設長を8年間務め、うち6年間、選択的週休3日制を自ら導入・運用。現在も介護事業の経営に携わりながら、同じ課題と向き合い続けています。

この記事でわかること

  • 育休復帰時に起きやすいシフトの偏りの原因
  • 実際に提示した4つの復帰プランと選ばれた割合
  • 育休復帰者が週休3日正社員(夜勤あり)を選ぶ理由
  • 事業者側のメリットと導入時に伝えるべきこと

介護施設の週休3日制導入について網羅的に知りたい方は、完全ガイド記事もあわせてご覧ください

株式会社週休3日は、介護施設の「採用できない」「定着しない」「若い世代の応募がない」を解決する人事 採用支援会社です。

週休3日の社名で創業10年。「週休3日」と「介護事業」にどこよりも詳しい専門家が、選ばれる働き方開発(週休3日制導入支援)、次世代型採用サイト、SNS・ショート動画で採用と定着の課題を可決します。

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育休復帰で起きやすい「シフトの偏り」の正体

育休復帰の際、大半の方は時短勤務を選びます。夕方4時頃までの勤務となるため、日中の人員は厚くなる一方、早番・遅番・夜勤帯が手薄になります。復帰者が同じ現場に複数人重なると、シフト作成はさらに難しくなります。私が以前マネジメントしていた介護施設でも、同じ状況が発生しました。

復帰時に提示した4つの選択肢

一般的な介護事業所では①一般正社員②時短勤務③時給勤務の3つを提示することが多いはずです。私たちは、そこに④週休3日正社員(夜勤あり)を加えた4つの選択肢を用意しました。

①一般正社員でそのまま復帰
②時短勤務で復帰(夜勤なし、週5勤務、1日6時間程度)
③時給で復帰(働き方はカスタマイズ可能)
④週休3日正社員で復帰(夜勤あり)

それぞれのメリット・デメリットを丁寧に伝えたうえで、本人に選んでもらいました。

実際の選択結果——4人中3人が④を選んだ

数年の間に育休復帰した職員は4人。そのうち3人が④週休3日正社員(夜勤あり)を選びました。割合にすると75%です。母数が4人と少ないため、あくまで参考値としてご理解ください。ただ、②の時短勤務が一般的に選ばれやすいという前提からすれば、この結果は現場の実感としてはっきり驚きがありました。

なぜ時短勤務より週休3日正社員(夜勤あり)が選ばれたのか

理由は大きく2つあります。

理由①夜勤手当が魅力的

夜勤1回につき3千円〜1万円程度の手当が出る事業所が一般的です。月4〜5回の夜勤なら、手当だけで月1万2千円〜5万円ほどになります。育休復帰でペースダウンすると、同一労働同一賃金の考え方から報酬が下がるのが通常です。夜勤を継続すれば、その下げ幅を抑えられます。実際、弊社が2021年に実施した調査でも、給与が8割になっても1日8時間・週4日勤務の週休3日正社員を選びたいと回答した方は28.7%にのぼりました。「働く日数を減らしたいが、報酬減はできるだけ避けたい」というニーズは、育休復帰の場面でも同じように働いていたのだと思います。

理由②夜勤の方がしっかり休める

夜勤2交代の場合、拘束時間は16時間程度と長くなります。しかし夜勤明けと休日が続くことで、まとまった休息が取れると感じる職員も一定数います。日中勤務は入浴介助などで体力を使うため、夜勤の方が働きやすいと考える方もいます。人によって「ちょうど良い」働き方は違います。

事業者側のメリット——朝夕偏重の解消

週休3日正社員(夜勤あり)を選ぶ職員が増えると、朝から夕方までの日中に偏りがちな人員配置が是正されます。早番・遅番・夜勤の担い手が計画的に確保できるようになり、シフト作成担当者の負担も軽減されます。求人広告や人材紹介にお金をかける前に、まず自社の働き方という土台を整える——「穴の開いたザルに水を入れる」前に、ザルの穴をふさぐという発想です。育休復帰者への選択肢拡充も、その土台づくりの一つだと考えています。

導入時に事前に伝えるべきこと

選択肢を用意するだけでは十分ではありません。育休復帰の半年ほど前から、本人に「復帰を前向きに考えている」「できる限り支援する」と伝えることが大切です。復帰される方の多くは「迷惑をかけるかもしれない」と不安に感じています。そのうえで「どの働き方を選んでも構わない」と伝え、選択肢を提示する。この順番を守ることで、本人が納得して選べる環境になります。

なお、選択的週休3日制はあくまで「選べる」制度です。全員を週休3日にするものではなく、本人の希望に応じて一般正社員・週休3日正社員などを行き来できる仕組みとして設計しています。

よくある質問

Q1. 育休復帰者が少ない施設でも参考になりますか?

A. 今回の実例は4人中3人という小規模なデータです。傾向をつかむ参考情報としてご活用いただき、実際の制度設計は自施設の職員構成やシフト状況に合わせてカスタマイズすることをおすすめします。

Q2. 週休3日正社員(夜勤あり)にすると給与はどうなりますか?

A. 一般的には、勤務日数の減少に応じて一般正社員の8割程度の給与水準に設定するケースが多いです。同一労働同一賃金の考え方に基づく設計です。夜勤手当は別途支給されるため、報酬減の幅を抑えられます。

Q3. 時短勤務ではなく週休3日を選びたいと言われたら、どう対応すればよいですか?

A. 双方のメリット・デメリットを具体的に伝えたうえで、本人の希望する働き方を尊重することが継続就業につながります。「制度として選べる」ことを事前にしっかり周知しておくことが前提です。

Q4. 制度導入にはどれくらいの準備期間が必要ですか?

A. 一般的には制度設計から運用開始まで4〜6ヶ月程度が目安です。育休復帰のケースでは、対象者への声かけを半年前から始めるなど、個別のタイミング調整も必要になります。

まとめ

育休復帰時のシフト偏りは、多くの介護施設が抱える課題です。時短勤務だけでなく、選択的週休3日制(夜勤あり)という選択肢を用意することで、職員本人の希望と事業所側の人員配置ニーズの両方を満たせる可能性があります。まずは小さな一歩として、復帰面談での選択肢の提示から始めてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

週休3日の専門家
永井 宏明 / Hiroaki Nagai
株式会社週休3日 代表取締役

印刷広告代理店営業、WEBコンサルを経て、静岡県の地域密着企業で週休3日総務課長で転職。人事・総務として10年勤務。同法人で介護施設の施設長に就任。8年間施設長を務め、多くの見取り(終末期)をコーディネート。同介護施設で週休3日制導入し6年間運用。その後、株式会社週休3日を創業し、2017年から事業開始。週休3日正社員という働き方の選択肢を広げる活動を続ける。2022年7月、クリニックからの事業承継により認知症グループホームの経営に参画。子供4人、共働き、育児パパ。趣味は演劇。作・演出 作品で静岡県芸術祭賞 他受賞。