「週休3日制を導入したら、職員のほとんどが週休3日を選んでしまうのでは」という不安を、経営者様からよく伺います。結論から言えば、その心配はほとんど当たりません。この記事では、実際にどれくらいの人が週休3日を選ぶのか、どんな人が選ぶのか、そして選ばなかった人はなぜそうしたのかを、介護施設の施設長と経営者として選択的週休3日制をそれぞれ6年間、4年間運用してきた経験と、週休3日制導入支援をしてきた中での実例から具体的にお伝えします。

この記事でわかること

  • 選択的週休3日制を導入した介護施設で、実際に週休3日を選ぶ人はどれくらいの割合か
  • 週休3日を選ぶ人にどんな傾向があるか(子育て・介護・体力・自己投資)
  • 「週休3日を選ぶ人は怠け者」という誤解がなぜ間違っているか
  • 週休2日を続けた人はなぜそちらを選んだのか
  • 経営者が「全員が週休3日を選ぶわけではない」と安心できる根拠

介護施設の週休3日制導入について網羅的に知りたい方は、完全ガイド記事もあわせてご覧ください

著者について

週休3日の専門家

株式会社週休3日 代表取締役 永井宏明。介護施設の施設長を8年間務め、うち6年間は選択的週休3日制を自ら導入・運用した実務者です。今も複数の介護施設の経営に携わっており、外から制度を語るコンサルタントではなく、同じ課題に向き合い続けている当事者として、この記事を書いています。

結論:選択的週休3日制導入直後に週休3日を希望するのは多くても全体の1割程度

先に結論をお伝えします。選択的週休3日制を導入しても、当初から週休3日を希望するのは多くても全体の1割程度が一般的です。私が施設長を務めていた介護施設では、導入直後は希望者はいませんでした。また現在経営している2つの介護施設では、選択的週休3日制導入直後に週休3日を希望した方は0人でした。将来的な興味を示された方は全体の15%程度で、4年間かけて、徐々に週休3日正社員等の、一般正社員ともパートとも違う働き方を選ぶ方が増えてきました。週休3日正社員他、一般正社員ともパートとも違う働き方を選んでいる方は全体の15%程度です。将来的にはあと10%くらいが週休3日正社員への切り替えにご興味をお持ちです。制度への理解と信頼が広がるにつれて、少しずつ選択する人が増えていった、というのが実感です。

そして、この週休3日正社員を選ぶ方の傾向があります。「なんとなく楽をしたい」という理由で選ぶ人はほとんどいません。子育て中の方、家族の介護をしている方、体力面に変化が出てきたシニアの方、そして自分のペースで働きたい若手。この4つの属性に、選択者の多くが集中しています。

実際に週休3日を選択した人の傾向

子育て中の方

30代を中心に、20代から40代まで幅広く見られます。保育園や学童のお迎え、急な発熱での呼び出しなど、フルタイム勤務では対応しきれない場面が積み重なり、限界を感じたタイミングで相談に来られる方が多い印象です。パートに切り替える選択肢もありますし、最初からパートで勤務を続けられる正社員としての待遇や将来性を手放したくないという理由で、週休3日を選ばれる方をたくさん見てきました。
一般的な正社員よりもペースダウンをして勤務できることで、子育てや家庭はもちろん、自分の休息に時間を割けるのが魅力だと思います。子育てにおいて、自分に一定の余裕がないと子供に厳しくあたりがちになってしまう体験を私個人もしてきました。ちょうど良い働き方で丁寧に子育てや家庭(暮らし)に向き合えるならば、週休3日正社員は非常に良い選択肢だと思います。

家族の介護をしている方

40代中盤から50代に多い層です。通院の付き添い、担当者会議への出席、銀行や役所での手続きなど、平日の昼間にまとまった時間が必要になる場面が頻繁に発生します。介護は突発的な対応が多く、休みが読めないという特有のつらさがあります。週休3日で「あらかじめ確保された1日」があることが、精神的な支えになっているという声を何度も聞きました。

週休3日を選びたい理由

【参考】2021年「正社員の働き方と転職」に関する意識調査(調査委託企業:株式会社IDEATECH)

体力面で変化があったシニアの方

60代以降、これまで通りのフルタイム勤務が体力的にきつくなってきた、という相談です。パートへの転換という選択肢もありますが、正社員としての責任感や、後進への技術継承の役割を持ち続けたいという方にとって、週休3日は「今の自分にちょうど良い働き方」として機能します。
現在経営している介護施設においても「来年」「1、2年後」「数年後」に週休3日正社員に切り替えてたいという希望をよく耳にします。将来的にペースダウンできる見込みもあるので現時点で安定して介護に向き合っていただいている面もあると思います。

自分のペースで働きたい若手

20代から30歳前後に見られます。自分の気力体力に合わせた働き方がしたい、副業と両立したい、といった理由です。30代後半以降になると副業は「生活のため」に興味がある方が増える印象ですが、この世代の副業はどちらかと言えば「自分のしたい仕事も続けたい」というものです。「介護を生活の基盤にしたいが、他にもやりたいことがある」という声を、面談で何度も聞いてきました。中には「投資をしたい」「投資の勉強をしたい」という若い世代も増えています。世代間の価値観の違いだと言われればそれまでですが、この層は今後さらに増えていくと私は見ています。

個人的には、介護の仕事をしてくれている・興味を持ってくれている若者は宝だと思っています。もちろん事業所(経営する介護施設)にとってもですし、その地域、さらには日本にとっての宝です。大変な介護の仕事に対して主体的に興味を持ってくれているのです。「介護の仕事はこりごり」「介護の仕事はもうしたくない」「介護はひどい世界」というように傷付き介護から離れてしまうことを是が非でも回避するために、働き方であれば柔軟に進んで譲歩すべきだと強く感じています。ぜひこの考え方に共感いただける経営者・経営陣・人事の方が増えてほしいと強く思います。

なぜ給与が下がってでも選ぶのか

週休3日を選ぶと、多くの場合、給与は一般正社員の約80%程度になります。これは思いつきの数字ではなく、同一労働同一賃金の考え方に基づき、労働時間の比率に加えて有給休暇の付与日数の有利性まで加味して導かれる、根拠のある水準です。

給与が2割下がるにもかかわらず選ぶ人がいるのは、「時間の価値」が「給与の価値」を上回る局面が人生には確かに存在するからです。子育てや介護は、今この瞬間にしか対応できない場面の連続です。後から取り戻せるお金と違い、子どもの成長期や親の介護に向き合う時間は取り戻せません。弊社が2021年に20代・30代を対象に実施した調査でも、「給与は8割で良いので週休3日正社員」を最も魅力的な働き方として選んだ人は28.7%にのぼりました。給与が下がってでも週休3日を選びたいという層は、決して少数派ではないのです。

週休3日他働き方アンケート

【参考】2021年「正社員の働き方と転職」に関する意識調査(調査委託企業:株式会社IDEATECH)

「週休3日を選ぶ人は怠け者」という誤解への反証

介護事業を営む経営者から、正直な本音として「週休3日を選ぶなんて、怠けたいだけじゃないのか」という声を聞くことがあります。私自身、施設長として制度を運用し始めた当初、周囲からこの種の疑念を向けられた経験が幾度となくあります。

まず押さえておきたいのは、給与が2割下がることを受け入れた上での選択だという事実です。怠けたいだけなら、給与を維持したまま楽をする方法を選ぶはずです。同じ調査で「週休3日という選択肢があると魅力的」と回答した人は94.2%(とても魅力的54.3%+少し魅力的39.9%)にのぼりました。若い世代のほぼ全員が、週休3日という選択肢そのものに魅力を感じているのです。実際には「休みの多さ」そのものではなく、「自分の人生に合わせて働き方を選べること」に価値を感じている、というのが実態に近いと私は考えています。

現場で実際に話を聞くと、週休3日を選んだ職員から「もう1日働いてもいいかもしれないけれど、これくらいがちょうど良い」という声をよく耳にします。これは怠けたい人の発言ではなく、無理のない働き方を見つけて納得している人の発言です。

週休2日を継続する人に、週休3日の選択肢は不要か?

一方で、週休3日を選ばずに週休2日を続ける人が、全体の8〜9割を占めます。もっとも多いのは「今の給与を維持したい」という理由でしょう。生活費、住宅ローンや教育費など、収入を減らせない事情を抱えている方は少なくありません。次に多いのが「今の働き方に満足している」という理由です。

ここで大切なのは、週休2日を続ける人にとっても、制度が無意味ではないという点です。「いざとなれば選べる」という安心感そのものが、働き続ける理由になります。今は使わなくても、将来子育てや介護、体力の変化に直面したときに、辞めずに働き方を変えられる。この保険としての価値が、選ばない7〜9割の定着にも効いていると私は考えています。

経営者が知っておくべき選択的週休3日制のポイント

  • 選択的週休3日制であれば、週休3日を選ぶのは全体の1〜2割程度
  • 全員が一斉に労働時間を減らすわけではない
  • 選ぶ人には明確な理由(子育て・介護・体力・自己投資)があり、制度の趣旨に沿った利用がほとんど
  • 給与は同一労働同一賃金で、ペースダウンした分だけ給与も下がるので人件費が増えない
  • 選ばない8〜9割にとっても「選べる安心感」が定着理由になる

選択的週休3日制の導入は、現場のシフトや人件費を急激に変える施策ではなく、じわじわと定着率と採用力を底上げしていく施策だとご理解いただければと思います。「全員週休3日」ではなく「選べる週休3日」だからこそ、リスクを抑えながら効果を得られる制度なのです。

よくある質問

Q1. 導入したら、いきなり多くの職員が週休3日を希望するのではないですか?

私の経験でも、導入直後に希望する職員は1割に届かないことがほとんどです。制度への理解と信頼が広がるにつれて、少しずつ選択者が増えていくのが実際の動きです。

Q2. 週休3日を選んだ後、また週休2日に戻れるようにした方が良いですか?

もちろんです。ライフステージが変われば週休2日に戻ることも想定した制度設計が一般的です。一度選んだら後戻りできない制度にすると、かえって選びづらくなってしまいます。大切なのは働き方の選択肢であり、ライフステージに合わせて働き方を選択できることです。

Q3. 週休3日を選ぶ人が偏ると、シフトの公平性が崩れませんか?

希望休のルール(月2回まで、など)は週休2日の職員と同様に適用するのが基本です。休みの取り方のルールを揃えておけば、不公平感は生まれにくくなります。導入時に十分検討しきめ細かい設定・ルールを定めておくことがお勧めです。

Q4. 副業目的で週休3日を選びたい場合、受け入れなければなりませんか?

法人の考え方次第です。副業や投資目的での利用を原則禁止とし、制度趣旨に沿った利用に限定する運用が多い印象です。あえて副業・投資目的でもOKにして採用の差別化を図る法人もあり、どこまで許容するかは法人の考え方次第です。いずれにせよ、導入時に週休3日を選ぶ理由の優先順位・禁止事項を整理し公開しておくべきです。

Q5. 週休3日を選ぶ人が増えすぎて、現場が回らなくなることはありませんか?

運用実績を見る限り、選択者が短期間で急増するケースはまれです。年に一度など切り替えのタイミングを決めておけば、シフトへの影響を見ながら段階的に受け入れることができます。また、人材不足で心配であれば「当初は採用時において週休3日を選択できるようにします。人材不足が解消され次第、既存社員も変更の理由・緊急性をふまえ週休3日への変更を認めていきます。」というガイドラインを示す方法もあります。

週休3日制の導入、まずは無料相談から

いずれにせよ、週休3日制導入は、最初の設計が重要です。私たちは、介護施設の経営者・管理者と同じ立場でこの制度と向き合ってきた実務者として、貴施設に合わせた設計をご支援します。お気軽にご相談ください。

株式会社週休3日では、介護事業者様向けに週休3日制のセミナー・情報発信・導入支援を行っております。

社名の通りどこよりも週休3日制と週休3日正社員の採用に詳しいです。実際に介護事業で実践している情報やノウハウを駆使し、お困りごと・お悩みに合わせてお手伝いさせていただきます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

週休3日の専門家
永井 宏明 / Hiroaki Nagai
株式会社週休3日 代表取締役

印刷広告代理店営業、WEBコンサルを経て、静岡県の地域密着企業で週休3日総務課長で転職。人事・総務として10年勤務。同法人で介護施設の施設長に就任。8年間施設長を務め、多くの見取り(終末期)をコーディネート。同介護施設で週休3日制導入し6年間運用。その後、株式会社週休3日を創業し、2017年から事業開始。週休3日正社員という働き方の選択肢を広げる活動を続ける。2022年7月、クリニックからの事業承継により認知症グループホームの経営に参画。子供4人、共働き、育児パパ。趣味は演劇。作・演出 作品で静岡県芸術祭賞 他受賞。