前回では、介護施設において選択的週休3日制を導入した経緯とデメリットをお話しました。今回はその続きです。導入のメリットについてもお話したいと思います。

選ばれる週休3日正社員

まず改めて介護施設において導入した選択的週休3日制をおさらいしたいと思います。一般正社員(年間休日120日)か時給制の二択だった人事制度に、年間休日153日の週休3日正社員(短時間正社員)の選択肢を加えました。給与は固定給(日給月給制)ですが、働く時間に合わせて8割程度とする、今で言う同一労働同一賃金の考え方です。

最初は従業員も懐疑的だった中、運用開始して6年経過した後、全体の3分の1超える方が週休3日で働く介護事業所になっていたことは前回お話しました。

ここで、まず介護の経営に関わる皆様にご理解いただきたいことがあります。それは「一般正社員、週休3日正社員、パート、アルバイト」といろいろな働き方がある中で、それぞれの働き方の良い点悪い点が分かってくると、週休3日正社員は選ばれる働き方だということです。全ての人が給与が減ってしまう週休3日正社員に魅力を感じるということではありません。しかし、育児子育て・ご家族の介護やサポート・あるいは仕事以外に大切にしていることにもっと時間を使いたいという理由で、給与が少し減っても週休3日正社員を選択したいという方は確実にいらしゃいます。弊社が協力会社に依頼して実施したインターネットを使ったアンケート結果や導入をサポートした事業所の事例から総合すると、日本の就業者が週休3日正社員に対する理解を深め、全体の20%から30%が週休3日正社員を選択する時代が遠からず来ると思います。総務省統計局の労働力調査(2023年4月〜6月期)では、役員を除く雇用者は5733万人とされ、うち正規の職員・従業員(つまり正社員)は3643万人(63.5%)、パート・アルバイトは1456万人(25.3%)、派遣・契約社員などその他の働き方を選択されている方は634万人(11%)。と報告されています。それを考えれば、20%から30%がいかに大きな数字かお分かりいただけるかと思います。

週休3日正社員はタイがカモになる!?

それでは選択的週休3日制導入のメリットをご紹介していきたいと思います。まずは「タイがカモになる」です。介護施設において制度導入してから週休3日を選択している社員には、半年に一度実施していた面接の際「今の働き方のままで大丈夫ですか?変更の必要はありませんか?」と聞いていました。その際、本当に全ての人がこう回答してくれていました。「もう1日働いてもいいカモしれないけれど、ちょうど良いので今の働き方にしておきます。」面接の度に、驚くほどみんな同じ回答をしてくれていたのを覚えています。これは、私が株式会社週休3日を創業するにあたって大きな力となった重要なフレーズです。ピンと来ないでしょうか…。ご説明をいたします。介護施設の正社員の多くは、心身ともに疲弊傾向にあるのは皆さんご存知の通りだと思います。「できれば、もう1日休みタイ」と思っている方は多いでしょう。一方の週休3日で働く方は「もう1日働いてもいいカモ」と働いていただけるのです。さて、ここで質問です。皆さんが医療や介護を受ける側になった時、「もう1日休みタイ」と思っている方に担当してほしいか、「もう1日働いてもいいカモ」と思っている方に担当してほしいか。どちらですか。多くの方は後者だと思います。感覚的に「心に余裕があって優しくしてくれそう」と思うのではないでしょうか。「タイがカモになる」…選択的週休3日制導入により、ちょうど良い働き方を選択できるようになると、介護の質があがりやすくなります。次回も引き続き「タイがカモになる」話と、その他の選択的週休3日制導入のメリットについてお話したいと思います。

株式会社週休3日では、介護事業者様向けに週休3日制のセミナー・情報発信・導入支援を行っております。

社名の通りどこよりも週休3日制と週休3日正社員の採用に詳しいです。実際に介護事業で実践している情報やノウハウを駆使し、お困りごと・お悩みに合わせてお手伝いさせていただきます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

永井宏明 / Nagai Hiroaki

株式会社週休3日 代表取締役

印刷広告代理店営業、WEBコンサルを経て、静岡県の地域密着企業で人事・総務として10年勤務。同法人で介護施設の施設長に就任。8年間施設長を務め、多くの見取り(終末期)をコーディネート。就任3年目以降介護施設で週休3日制導入。その後、株式会社週休3日を創業し、2017年から事業開始。週休3日正社員という働き方の選択肢を広げる活動を続ける。2022年7月、クリニックからの事業承継により認知症グループホームの経営に参画。グループホーム今日香と明日香の経営に携わる。子供4人、共働き、育児パパ。趣味は演劇。作・演出 作品で静岡県芸術祭賞 他受賞。