この記事を書いている人

株式会社週休3日 代表取締役 永井宏明。2006年、29歳のときに「週休3日総務課長」として地域密着企業に転職し、自ら週休3日正社員として働き始めました。同法人で介護施設の施設長に就任。介護施設の施設長を8年間務め、うち6年間は選択的週休3日制を自ら導入・運用してきました。今も経営者として、同じ制度設計の悩みに向き合っている当事者として書いています。
この記事でわかること
- 週休3日制に「これが正解」という決まった型は存在しないこと
- 常勤の勤務時間定義は、法律ではなく各事業所が決められること
- 都市部・地方、夜勤の有無、ユニット数によって最適な設計が変わること
- 型をそのまま真似ることのリスクと、自施設に合わせて考える大切さ
介護施設の週休3日制導入について網羅的に知りたい方は、完全ガイド記事もあわせてご覧ください
株式会社週休3日は、介護施設の「採用できない」「定着しない」「若い世代の応募がない」を解決する人事 採用支援会社です。

週休3日の社名で創業10年。「週休3日」と「介護事業」にどこよりも詳しい専門家が、選ばれる働き方開発(週休3日制導入支援)、次世代型採用サイト、SNS・ショート動画で採用と定着の課題を可決します。
週休3日制導入支援
講師依頼・メディア
結論:週休3日制に「正解の型」はない
先に結論からお伝えします。介護施設における週休3日制の設計に、全国共通の「正解の型」はありません。1日8時間勤務を4日でも、1日10時間勤務を4日でも、あるいはその中間でも、制度上は事業所が自由に設計できます。
なぜなら、常勤という働き方の勤務時間数は、国が一律に決めているものではなく、各事業所が就業規則で定めるものだからです。「常勤は週40時間でなければならない」と思い込んでいる経営者の方は少なくありませんが、それは思い込みです。私自身、以前マネジメントをしていた介護施設で短時間正社員制度を導入した際、行政とのやり取りの中でこの事実に気づかされました。行政に「何時間以上働けば常勤にあたるのか」と尋ねても、明確な数字は返ってきません。返ってきたのは「各事業所において常勤者が就労すべき時間を勤務している者が常勤だ」という趣旨の回答でした。つまり、常勤を定義しているのは国ではなく、事業所自身の就業規則なのです。
介護保険制度上の根拠|常勤換算と週32時間の下限
とはいえ、まったく無制限に決められるわけではありません。介護保険制度上、常勤換算方法には下限があります。この根拠となっているのが、厚生労働省が発出した「介護保険最新情報vol.454(平成27年度介護報酬改定に関するQ&A)」です。
このQ&Aでは、常勤換算方法について「当該事業所の従業者の勤務延時間数を、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする)で除する」という考え方が示されています。ポイントは2つです。ひとつは、常勤の勤務時間数の基準は各事業所が自ら定めているという点。もうひとつは、その下限が週32時間だという点です。週40時間の5分の4というシンプルな計算根拠だと私は理解していますが、明確な由来は厚生労働省の資料からは確認できませんでした。この点についてより詳しい制度上の位置づけは、以前の記事(常勤の定義と32時間の考え方について)でも整理していますので、あわせてご覧いただければと思います。
つまり、事業所が定める常勤の勤務時間は、週32時間を下回らない範囲であれば、自由に設計してよいということです。週40時間の一般正社員だけでなく、週32時間前後の週休3日正社員も、制度上まったく問題なく「常勤」として位置づけられます。

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地域・夜勤体制・ユニット数で「最適な型」は変わる
ここまでお伝えした通り制度上の自由度は高いのですが、だからといってどの事業所も同じ設計で良いわけではありません。私がこれまで様々な事業所の相談を受けてきた中で感じるのは、地域性や施設の運営体制によって、最適な設計はまったく異なるということです。
例えば都市部と地方では、通勤事情も採用競合の状況も違います。都市部は通勤時間の負担が大きい分、休日の質を重視する求職者が多く、地方は近隣に競合が少ない分、給与水準よりも「休みやすさ」そのものが差別化要因になりやすい傾向があります。
夜勤体制の有無も設計に直結します。夜勤専従者を抱える事業所と、日勤のみの通所系事業所とでは、週休3日の組み方がまったく変わってきます。夜勤を含むシフトでは、1回の勤務時間が長くなりがちなため、週休3日と組み合わせた際の総労働時間の設計に注意が必要です。
ユニット数や配置人数も同様です。ユニット数が少なく人員に余裕がない事業所が、いきなり多様な勤務パターンを導入すると、シフト作成の負担が一気に増えてしまいます。逆に一定の規模がある事業所であれば、複数パターンを併用しても運用しやすいことがあります。自施設の体制を無視して他施設の型をそのまま持ち込むと、うまくいかないどころか、現場が疲弊する結果になりかねません。
さらに言えば、職員構成の年齢層によっても最適解は変わってきます。子育て世代が多い事業所であれば、送迎の時間帯と勤務時間の相性が重要になりますし、体力面でペースダウンを希望するベテラン職員が多い事業所であれば、休日を増やす設計そのものが定着策として効いてきます。「自施設にはどんな職員がいて、どんな事情を抱えているか」を棚卸しすることが、制度設計の出発点になります。
8時間型・10時間型以外にも中間パターンはある
週休3日制の代表的な設計は、1日8時間勤務を週4日行う型と、1日10時間勤務を週4日行う型の2つです。前者は労働時間そのものが減るため給与も労働時間に応じて調整しやすく、後者は総労働時間を維持したまま休日だけを増やせるという特徴があります。
実務上、この中間にあたる1日9時間勤務・週36時間という設計も理論上は可能です。週の実働時間が36時間程度に収まるため、同一労働同一賃金の観点から給与を大きく下げずに週休3日を実現できるという利点はあります。ただし私たちは、こうした中間パターンをむやみに増やすことはおすすめしていません。理由はシンプルで、勤務パターンが増えるほど、シフト作成や労務管理が煩雑になり、担当者の負担が増すからです。私たちが介護施設への導入支援で基本としてお勧めしているのは、「週休2日と週休3日の2択」というシンプルな設計です。中間パターンを検討する余地があること自体は知っておいていただきたいのですが、実際に採用するかどうかは、自施設の管理体制と天秤にかけて慎重に判断していただくのが良いと思います。
他施設の「型」をそのまま導入しないこと
これまで多くの介護施設の相談を受けてきましたが、一番もったいないと感じるのは「他の事業所がこうしているから」という理由だけで、自施設に合わない型をそのまま導入してしまうケースです。制度は自由に設計できる分、正解を探して他社事例を真似したくなる気持ちはよくわかります。しかし、夜勤体制も、人員配置も、地域の採用競合も、事業所ごとにまったく異なります。ある事業所でうまくいった設計が、別の事業所ではシフトを圧迫し、かえって職員の不満を招くこともあります。
大切なのは「型」を探すことではなく、自施設の現場を見ながら、常勤の勤務時間定義や休日設計を自ら考えるプロセスそのものです。経営者自身が頭を柔らかくして、就業規則や人員配置の考え方に向き合うことが、遠回りのようで一番確実な近道だと私は感じています。
私自身、事業承継した事業所では、以前の施設とはまったく異なる職員構成・夜勤体制に直面し、過去に自分がうまくいった設計をそのまま持ち込もうとして苦労した経験があります。同じ経営者であっても、施設が変われば正解は変わる。この前提に立つことが、制度設計を成功させる第一歩だと感じています。
そもそも大事なのは「選ばれる働き方」の開発
ここまで制度設計の技術的な話をしてきましたが、最後にもう一段大きな視点をお伝えしたいと思います。私たちは採用活動の全体像を5層のピラミッドとして捉えています。上から、選考プロセス、求人媒体・チャネル、情報発信、働き方の開発、そして土台となる経営基盤・企業ブランドです。
多くの経営者様が最初に手を伸ばすのは、求人媒体への広告費です。しかし求人媒体は、ピラミッドの上のほうの層でしかありません。その下の「働き方の開発」という土台が整っていなければ、いくら広告費を注いでも、応募や定着にはつながりにくいのです。私たちはこれを「穴の開いたザルに水を入れる」状態と呼んでいます。まず穴をふさぐこと、つまり選ばれる働き方そのものを整えることが先決です。
選択的週休3日制は、この「働き方の開発」における代表的な手段のひとつです。あくまで「選択的」であり、全職員を週休3日にする制度ではありません。希望する人だけが選べる制度にすることで、人件費増を限定的にしながら、採用と定着の両面で効果を発揮します。実際、私たちが2021年に20代・30代を対象に実施した調査では、「週休3日という選択肢がある方が魅力的」と回答した人が94.2%にのぼりました。また、給与が8割程度になっても週休3日の正社員という働き方を最も魅力的だと回答した人は28.7%存在しました。
なお給与水準については、週休3日を選ぶ職員の給与を一般正社員の8割程度に設定するケースが一般的です。これは同一労働同一賃金の考え方から見て、労働時間の減少分に見合った、根拠のある水準だと私は捉えています。常勤の定義や勤務時間の設計は、こうした「選ばれる働き方」を実現するための土台そのものだと私は考えています。
よくある質問
Q1. 常勤の勤務時間を週32時間に設定しても、介護保険の人員配置基準は満たせますか?
週32時間は介護保険制度上の常勤換算における下限です。この時間数を下回らなければ、常勤として人員配置基準上の扱いを受けることが可能です。ただし就業規則や労働条件通知書との整合性が必要になりますので、社会保険労務士等の専門家と併せて確認することをお勧めします。
Q2. 常勤の定義を変更する際、行政への届出は必要ですか?
事業所内の就業規則変更としての手続きが基本になりますが、具体的な要否は自治体や指定権者によって異なる部分があります(※要確認:自治体ごとの届出運用)。制度変更時は所轄の窓口に事前確認されることをお勧めします。
Q3. 週休3日正社員を導入すると、シフト作成の負担は増えますか?
勤務パターンを増やしすぎると負担は増えます。だからこそ私たちは「週休2日と週休3日の2択」というシンプルな設計を基本としてお勧めしています。パターンが均一であれば、時給者中心のシフトに比べてむしろ組みやすくなるケースも多く見られます。
Q4. 都市部と地方で、どちらの設計を優先すべきですか?
一律の正解はありません。都市部は休日の質、地方は休みやすさそのものが差別化要因になりやすい傾向がありますが、最終的には自施設の採用競合と現場の人員体制を踏まえて判断することが大切です。
介護施設の週休3日制導入について、ご相談ください
制度は自由に設計できる分、「何から手をつければいいかわからない」という声を多くいただきます。自施設の状況に合わせた制度設計について、私たちがご相談に乗ります。
株式会社週休3日は、介護施設の「採用できない」「定着しない」「若い世代の応募がない」を解決する人事 採用支援会社です。

週休3日の社名で創業10年。「週休3日」と「介護事業」にどこよりも詳しい専門家が、選ばれる働き方開発(週休3日制導入支援)、次世代型採用サイト、SNS・ショート動画で採用と定着の課題を可決します。
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