介護施設週休3日制導入メリット・デメリット

結論から申し上げます。介護施設における週休3日制の導入は、「全員を週休3日にする制度」ではなく、「週休2日と週休3日を職員が選べるようにする制度(選択的週休3日制)」として設計したとき、採用力・定着率・介護の質の3つに同時に効きます。一方で、給与設計やシフト調整の難しさ・人員配置基準への対応といったデメリットも存在します。この記事では、介護施設で選択的週休3日制を6年間運用し、現在も複数の介護施設の経営に携わる立場から、週休3日制導入のメリットとデメリットの両面を、包み隠さずお伝えします。

この記事でわかること

  • 介護施設で週休3日制の導入が注目されている背景と、業界固有の事情
  • 介護施設に導入できる週休3日制の3つの型と、それぞれの向き不向き
  • 介護施設が週休3日制を導入するメリット【7つ】
  • 介護施設が週休3日制を導入するデメリット・課題【6つ】と、その具体的な対策
  • 導入を失敗させないための、5つの制度設計ポイント
  • 経営者からよくいただく質問への回答
  • 制度を作った後にやるべきこと——「良い働き方」を知ってもらうための情報発信

この記事を書いている人

週休3日の専門家

株式会社週休3日 代表取締役 永井宏明。2006年、29歳のときに「週休3日総務課長」として地域密着企業に転職し、自ら週休3日正社員として働き始めました。同法人で介護施設の施設長に就任し、8年間施設を運営。就任3年目の2008年から、施設に選択的週休3日制を導入し、6年間運用しました。2016年に株式会社週休3日を創業。2022年からは複数の介護施設の経営にも携わっています。

つまり私は、コンサルタントとして外から週休3日制を語っているのではなく、介護施設の現場で週休3日制を導入・運用し、今も経営者として採用と定着の難しさに向き合っている実務者です。ですので、メリットだけを並べる気はありません。デメリットも、失敗しやすいポイントも、正直にお伝えします。

株式会社週休3日は、介護施設の「採用できない」「定着しない」「若い世代の応募がない」を解決する人事 採用支援会社です。

週休3日の社名で創業10年。「週休3日」と「介護事業」にどこよりも詳しい専門家が、選ばれる働き方開発(週休3日制導入支援)、次世代型採用サイト、SNS・ショート動画で採用と定着の課題を可決します。

週休3日制導入支援

講師依頼・メディア

第1章 なぜ今、介護施設で週休3日制の導入が注目されているのか

1-1. 求人を出しても応募が来ない、という現実

介護施設を経営されている方であれば、この状況に心当たりがない方はいないのではないでしょうか。

  • 求人媒体に毎月お金をかけているのに、応募がほとんど来ない
  • 人材紹介会社に高い手数料を払って採用したのに、1年ももたずに辞めてしまった
  • 若い世代からの応募が、ここ数年でほぼゼロになった
  • 現場は慢性的な人手不足で、残っている職員が疲弊している
  • その疲弊が、また次の離職を呼んでいる

この悪循環に対して、多くの介護施設が最初に取る手は「求人媒体を変える」「掲載予算を増やす」というものです。しかし冷静に振り返ってみてください。媒体を変え、予算を増やして、採用は本当に改善したでしょうか。

私たちはこの状態を「穴の開いたザルに水を入れている」と表現しています。いくら広告費という水を注いでも、構造的な問題という穴から漏れていく。まず穴をふさぐことが先なのです。そして介護施設における最大の穴のひとつが、「働き方の選択肢が少ない」問題です。

1-2. 「正社員(週休2日)かパートか」の二択が現場を苦しめている

介護の現場には、実に多様な事情を抱えた方々が働いています。

  • 子育て中で、フルタイムはこなせるけれど、もう少しだけ自分の時間が欲しい方
  • 家族の介護を抱えていて、週に1日、通院の付き添いに充てたい方
  • 経験も知識も豊富だが、体力的にフルタイム勤務を続けるのが難しくなってきたシニアの方
  • 仕事以外に大切にしたいことがある、若い世代のスタッフ
  • 持病や体調の波と付き合いながら、専門職としてのキャリアは続けたい方

こうした方々に対して、多くの介護施設が用意している選択肢は「正社員(週休2日)」か「パート・非常勤」の2つしかありません。

正社員を続けるには無理がある。かといってパートになれば、賞与や社会保険、キャリアの継続性を手放すことになる。この「二択しかない」という制度設計そのものが、経験豊富な職員の離職を招き、優秀な人材の応募を遠ざけているのだとしたら、どうでしょうか。

これは介護業界に限ったことではありません。どこの業界においても働き方の選択肢が少ないは採用や定着における課題です。しかし、介護業界の特徴は女性が多いことです。一般的に男性よりも女性の方が子育て、家族の介護など役割が多く働き方で行き詰まる傾向にあります。

私が介護施設の施設長を務めていたとき、まさにこの問題に直面しました。フルタイム勤務が難しくなってきた優秀な職員が、働き方に悩み退職の相談をしてくることが多くありました。働き方の悩みを解決すべく、パートになれば、給与が大きく下がり。かといって、フルタイムを無理に続けさせれば、いずれ心身を壊してしまう。いずれにせよ、退職に近づいていきます。

そこで導入したのが、「選択的週休3日制」という第三の選択肢でした。

1-3. 若い世代の働き方の価値観は、すでに変わっている

もうひとつ、経営者として直視しなければならない事実があります。若い世代にとって、現在主流である「週休2日の正社員」という働き方が、もはや最も魅力的な選択肢ではなくなっているということです。

私たちが実施したアンケートでは、(介護業界に限定したものではないですが)20代・30代の9割以上が「週休3日正社員の選択肢がある企業に魅力を感じる」と回答しました。

若い世代の90%以上が、週休3日の選択肢がある企業に魅力を感じるというデータがあります

Q. 仮に転職先を探す場合、「週休3日」という選択肢がある方が魅力的に感じますか?

とても魅力的 … 54.3%
少し魅力的 … 39.9%
あまり魅力的ではない … 5.2%
全くそう思わない … 0.6%

94.2%が「週休3日」という選択肢がある企業の方が魅力的に感じています。

出典:株式会社週休3日による20代30代を対象とした働き方アンケート(アンケート期間 2021年9月末日)

週休3日制を軸とした働き方改革は採用・定着に欠かせません

さらに、1日の勤務時間を延ばして給与を維持する週休3日正社員を最も魅力的だと答えた方が約4割、給与が8割になっても1日8時間のまま週休3日で働きたいと答えた方も約3割弱いました。

給与が下がってでも週休3日を選びたい人が、4分の1以上いる。これは40代以上の世代の感覚とは大きく異なる価値観です。若い世代はコストパフォーマンスを重視する傾向がありますが、彼らは「週休3日の方がコスパが良い」と評価しているのです。増えた1日を、学びややりたいことに使う方が価値があると考えている。

経営幹部の感覚で週休3日制を何となく否定的に捉えていると、介護事業者の働き方に対する価値観は、若い世代と着実に乖離していきます。 そしてその乖離は、応募数という形で、静かに、しかし確実に経営を蝕んでいきます。

第2章 介護施設の週休3日制とは?導入できる4つの型を比較

「週休3日制」と一口に言っても、実は複数のパターンがあります。ここを混同したまま議論すると、導入の可否を正しく判断できません。週休3日制の4つの型を整理します。

2-1. ①1日10時間型の週休3日制

介護施設における1日10時間の週休3日

1日の勤務時間を10時間に延ばし、週4日勤務にすることで、週40時間という一般的な労働時間を維持する型です。給与を変えずに休日を増やせるため、介護施設からのご相談でも、半数以上の法人がこの型を想定されています。

しかし後述する通り、この型には大きなデメリットもあります。導入する場合は、相当慎重な検討が必要です。

2-2. ②1日8時間型の「週休3日制」(給与は減額)

介護施設における1日8時間の週休3日制

1日の勤務時間は8時間のまま変えず、週4日勤務(週32時間)とする型です。給与は週休2日の一般正社員のおおよそ8割程度になります。

2-3. ③1日8時間型の「週休3日制」〜給与は変わらない〜

1日の勤務時間は8時間のまま変えず、週4日勤務(週32時間)とする型ですが、給与は週休2日の一般正社員と同額のままにします。介護業界においてはスタッフが勤務した時間に対して対価が支払われていますので、お分かりのように現実的ではありません。

2-4. ④選択的週休3日制|1日8時間型の「週休3日制」〜給与は減額〜を選択できる

最後にご紹介するのが選択的週休3日制です。②1日8時間型の「週休3日制」(給与は減額)と、一般正社員を選べるように制度設計します。

全員を週休3日にするわけではありません。ここは経営者の方が最も誤解されやすい点なので、強調しておきます。

選択的週休3日制=「全員週休3日」ではない。「正社員のまま、週休3日も選べる」制度である。

私が介護施設の施設長時代に6年間運用し、現在も関わる施設で導入しているのが、この型です。以下の章で述べるメリットの多くは、この選択的週休3日制を前提としています。

第3章 介護施設が週休3日制を導入する【7つのメリット】

メリット1 「タイがカモになる」——介護の質が上がりやすくなる

週休3日制で働くとタイがカモになる

選択的週休3日制を導入してから、私は半年に一度、週休3日で働く職員と面談をしていました。「今の働き方のままで大丈夫ですか。変更の必要はありませんか」と、必ず聞くようにしていたのです。

驚いたことに、面談のたびに、ほぼ全員が同じ答えを返してくれました。

「もう1日働いてもいいカモしれないけれど、ちょうど良いので今の働き方にしておきます」

この一言に、私は強い手応えを感じました。これは、私が株式会社週休3日を創業するにあたって、大きな力となった重要なフレーズです。

週休3日制で働くと、もう1日休みたいが、もう1日働いてもいいかもになる

介護施設で正社員として働く多くの方は、心身ともに疲弊しがちで、「できれば、もう1日休みタイ」と思っています。一方、週休3日を選択している方は「もう1日働いてもいいカモ」という、心に余裕のある状態で働いてくれているのです。

「タイ」が「カモ」になる。言葉遊びのように聞こえるかもしれませんが、これは介護の質に直結する、極めて重要な変化です。

ここで、経営者の皆様に質問です。もしご自身やご家族が介護を受ける立場になったとき、「もう1日休みタイ」と思いながら勤務している職員に担当してほしいでしょうか。それとも、「もう1日働いてもいいカモ」と心に余裕を持って働いている職員に担当してほしいでしょうか。

Screenshot

多くの方は後者を選ぶはずです。心に余裕がある人の方が、優しく、丁寧に接してくれそうだと、感覚的に分かるからです。

認知症の利用者様が同じご要望を二度、三度と繰り返されても、大らかに対応できるかどうか。忙しさに追われて気持ちに余裕がない状態では、どうしても丁寧な対応は難しくなります。ちょうど良い働き方は、心の余裕を合理的に確保し、サービスの質の根拠となるのです。

もちろん、これは週休2日で働く職員が丁寧な介護をできないという意味ではありません。人それぞれ、自分に合った「ちょうど良い働き方」があるというだけの話です。週休2日がちょうど良く、心に余裕を持って丁寧な介護ができる方も当然いらっしゃいます。

ただ、介護の現場は今なお女性の比率が高く、家事や家族のサポートを担いながら、十分な休養を取れずにいる方が少なくないのも事実です。仕事と家庭の両方の負担が重なり疲弊しやすい環境だからこそ、「ちょうど良い働き方を選べる」ことの価値は、他の業種以上に大きいと感じています。

メリット2 求人広告が効果的になる(無駄な費用を抑えられる)

介護業界最大の課題である人材確保において、私が施設長を務めていた当時、求人広告をほとんど出さずに専門職の採用が続く状態を経験しました。いわば「採用無双」とも言える状況でした。

ただし、ここは正直にお伝えしなければなりません。あれはあくまで「当時」の話です。 現在の採用市場は、当時とは比較にならないほど厳しくなっています。生産年齢人口の減少は年々進み、介護業界だけでなく、あらゆる業種が人材の奪い合いをしている。週休3日制を導入すれば求人広告が不要になる、というほど今は甘くありません。

それでも、確実に言えることがあります。週休3日制を導入している介護施設は、導入していない施設に比べて、採用機会が明らかに多い。 そして何より、同じ広告費をかけたときの効果がまるで違うのです。

なぜ求人広告の費用対効果が変わるのか

理由は3つあります。

理由① 提示できる条件そのものが他施設と違う

介護業界で「正社員のまま週休3日を選べる」施設は、今なお極めて少数です。ほとんどの施設が「週休2日正社員かパートか」の二択しか提示できていない中で、第三の選択肢を持つ施設は、求人一覧の中で自然と目に留まります。求職者が何十件もの求人をスクロールしていく中で、「あれ、これは何だろう」と指が止まる。この差は、掲載順位のオプション費用を払うよりも、はるかに大きな効果を生みます。

理由② 募集要項を細分化でき、応募の取りこぼしが減る

これは非常に重要なポイントです。「正社員」と「パート」の2種類だけの求人では、自分にぴったり合う条件が見つからず、応募をあきらめてしまう求職者が数多くいます。求人票を開いて、条件を見て、そっと閉じる。この「見えない離脱」は、応募数という数字には一切現れません。

ここに、

  • 週休2日正社員
  • 週休3日正社員
  • 準社員
  • パート(時給制)
  • 扶養範囲内パート

といった選択肢を並べるとどうなるか。「自分に合った求人がある」という体験が生まれ、これまで離脱していた層が応募に至るようになります。週休3日制の導入は、この細分化を可能にする起点になるのです。同じ広告費で露出させる求人の「受け皿」が広がる、と言い換えてもよいでしょう。

理由③ ミスマッチによる早期離職が減り、採用単価が下がる

求人広告の費用対効果を考えるとき、多くの方が「応募単価」で判断されます。しかし本当に見るべきは、「1年後も在籍している職員を1人採用するのにかかった費用」です。

無理な条件で採用し、3ヶ月で辞められれば、その広告費はまるごと無駄になります。一方、その人にとってちょうど良い働き方で入職した職員は、続きます。週休3日制は、この「続く採用」の確率を上げる制度です。結果として、採用単価は下がります。

週休3日制は「求人広告をゼロにする魔法」ではありません。「同じ広告費から、より多くの、より続く採用を生み出すための土台」です。

私たちが「穴の開いたザルに水を入れている」と表現するのは、まさにこの構造のことです。ザルの穴をふさいでから水を注げば、同じ量の水がきちんと溜まる。働き方の整備と情報発信を先に済ませてから求人広告に投資すると、費用対効果が大きく変わるのです。

メリット3 定着率が向上し、離職コストが下がる

週休3日制導入のメリットとして、採用と並んで大きいのが定着率の向上です。私が施設長時代に経験した定着率の改善は、目を見張るものがありました。

介護施設における離職は、単に「人が1人減る」だけの問題ではありません。

  • 求人広告費、あるいは人材紹介手数料(年収の20〜35%程度)
  • 採用担当者・面接者の人件費
  • 新人教育・OJTにかかる既存職員の時間
  • 一人前になるまでの生産性のギャップ
  • 残された職員の負担増加と、それによる連鎖離職リスク
  • 利用者様・ご家族との関係性の再構築コスト

これらを合算すると、介護職員1人の離職が生む損失は、決して小さくありません。週休3日制の導入コストは、離職を数名防げるだけで十分に回収できるという試算が成り立つケースが多いのです。

実際に6年間運用した体験談はこちらの記事で詳しくお話しています

メリット4 シニア人材を「戦力のまま」引き留められる

介護施設にとって、経験豊富なシニア職員は貴重な財産です。しかし体力面の変化から、フルタイム勤務の継続が難しくなる時期が必ず訪れます。

このとき、選択肢が「フルタイム正社員のまま無理をする」か「パートに降りる」しかないと、多くの方が後者を選び、結果として役割も責任も、そして施設への関与度も下がっていきます。長年培った知見が、十分に活かされないまま埋もれてしまうのです。

正社員としての立場を維持したまま週休3日を選べるという第三の選択肢があれば、シニア職員は「戦力のまま」働き続けることができます。新人指導、記録の質のチェック、ご家族対応といった、経験がものを言う業務を担い続けてもらえる。これは、若手の育成基盤を守ることにも直結します。

メリット5 育児・介護による離職を回避できる

介護領域では、今なお女性が多く活躍しています。厚生労働省の発表資料でも、介護福祉士国家試験の合格者に占める女性の比率は約7割です。男性の比率も増えてきましたが、介護施設の人材確保において「女性に受け入れられる働き方」が重要であることは間違いありません。

子育て中の職員、家族の介護を担う職員にとって、週に1日の余白があるかないかは、就業継続の可否を分けるほど大きな差です。通院の付き添い、学校行事、役所や地域包括支援センターとのやりとり——これらは平日にしかできないことが多く、週休2日では有給休暇を削り続けるしかありません。

週休3日制の導入は、こうした職員が「辞めずに済む」ための現実的な受け皿になります。

育休復帰時の具体的な活用実例はこちらの記事で紹介しています

メリット6 利用検討者様・ご家族への強力な差別化になる

これは、意外と見落とされている週休3日制導入のメリットです。

私が営業として、施設の利用を検討されているご家族に対応していた時のことです。多くの利用検討者様が、複数の施設のパンフレットやホームページを見比べながら、こうおっしゃっていました。「どこも介護の質が高そうなことを書いてあって、正直、判断できない」と。

こうした方々に対して、私は「うちの施設も介護の質には自信があります」といった、ありきたりな営業トークはしませんでした。代わりにお伝えしていたのは、次の話です。

「うちの施設では、正社員でも週休3日制を選べるんですよ。みんな、それぞれ自分に合った、ちょうど良い働き方をしています」

この効果は絶大でした。あるご夫婦にこの話をした時のことが分かりやすいのでご紹介します。ご主人様は「ふうん、最近は変わった働き方もあるんだね」と、どこか怪訝な様子でした。ところが奥様は、「あら、それなら余裕があって、優しくしてくれますね」と、明るい表情に変わったのです。

そしてこの発言をされた方の多くが、施設の介護の質に良い印象を持ってくださり、ご契約につながっていきました。

この受け取り方の違いは、おそらくご自身に子育てや介護の経験があるかどうかによるものでしょう。人は、心に余裕がなければ、どうしても他人に優しくできません。自らの経験を通じてそれを実感しているからこそ、「ちょうど良い働き方を選べるスタッフが介護をしている」という価値に、深く共感していただけるのです。

週休3日制は、採用のための制度であると同時に、利用者獲得のための差別化資源でもある。 ここを理解している介護施設は、まだごく僅かです。

メリット7 若い世代の価値観に、施設の側から歩み寄れる

第1章で触れた通り、若い世代の働き方に対する価値観は、すでに大きく変化しています。週休3日制を導入するということは、その変化に対して施設側から歩み寄る、という明確なメッセージになります。

そしてこのメッセージは、採用サイトやSNS、ショート動画といった情報発信と組み合わせたとき、大きな力を発揮します。「働き方を選べる施設です」という一点は、若い世代にとって分かりやすく、記憶に残りやすい訴求だからです。

第4章 介護施設が週休3日制を導入する【6つのデメリット・課題】

ここまでメリットをお伝えしてきましたが、当然ながら、週休3日制の導入にはデメリットもあります。むしろ、ここを直視せずに導入すると失敗します。正直にお伝えします。

デメリット1 週休3日を選ぶと給与が下がる

1日8時間型の選択的週休3日制では、週の労働時間が32時間となるため、給与は週休2日の一般正社員のおおよそ8割程度になります。

これは制度としては当然のことですが、職員側からは次のような声が出ます。

「週休2日だと仕事も家庭もいっぱいいっぱいで、続けるのが難しい。週休3日を選べるのは嬉しいけれど、給与が少なくなりすぎる……」

経営者・経営幹部からすれば「そんなに都合よく考えないでほしい。週休3日を選べるだけでも良いでしょう」と思われるはずです。そのお気持ちは、私にもよく分かります。

【対策】 大事なのは、週休2日で働いてもらうことでも、週休3日で働いてもらうことでもありません。継続して勤務してもらうことです。そのために、休日数と給与の刻みを2段階だけにせず、たとえば「年間休日135日/145日/155日」のように複数段階を用意し、その人にとってちょうど良い水準を選べるようにする。あるいは、週休3日を選択しても職務手当や資格手当は減額しない設計にする。こうした調整で、退職を回避できるケースは数多くあります。

デメリット2 シフト作成・人員配置基準への対応が複雑になる

介護施設にとって最も現実的な課題がこれです。週休2日の職員と週休3日の職員が混在すると、シフト作成の難易度は確実に上がります。加えて、人員配置基準を満たし続ける必要があります。

【対策】 ポイントは3つです。

常勤換算の考え方を事前に整理する——週休3日正社員を常勤換算上どう扱うかを、導入前に必ず確認しておきます。ここを曖昧にしたまま走り出すのが、最も危険なパターンです。

選択できる条件を明確にする——「週休3日を選択できるのは○○の要件を満たす職員」「1ユニットあたり週休3日選択者は○名まで」といった上限を設けることで、シフトの破綻を防ぎます。

変更のタイミングを固定する——「変更は年2回、4月と10月の切り替えのみ」とすることで、シフト計画が立てられます。私が施設長時代に半年に一度の面談を設けていたのは、この切り替えを兼ねていたからです。

常勤換算・週32時間の考え方はこちらの記事で詳しく解説しています

デメリット3 1日10時間型は、難易度が高い

介護施設からのご相談で最も多いのが「1日10時間勤務・週4日の週休3日制」です。週の労働時間が40時間のまま変わらず、給与も据え置きにできるため、一見すると最も導入しやすく見えるからでしょう。

はじめにお伝えしておきますが、この型で成功している施設も実際にあります。 エリアの特性、事業所の規模、職員構成、夜勤体制の組み方によっては、1日10時間型が最適解になるケースは確かに存在します。頭から否定するつもりはまったくありません。

ただし、難易度は明らかに高い。 検討される際には、次の3つの課題を必ず織り込んでください。

課題① 勤務の開始・終了時間を変更する負担が大きい

既存職員の皆さんは、現在の職場を選ぶにあたって、勤務の開始時間と終了時間が自分の生活に合っているかを検討した上で入社を判断されています。そして仕事に慣れていくのと同時に、その時間に生活のリズムを合わせていくことで、安定した就業環境が成り立っているのです。

朝の家事の段取り、家族の見送り、通勤経路、帰宅後の食事や入浴の時間。これらはすべて、現在の勤務時間を前提に組み上がっています。「週に働く時間は同じだから」という理由で開始・終了時間を1〜2時間ずらすことは、経営側が想像する以上に、既存職員の生活を揺さぶります。

場合によっては、既存職員が一斉に就業継続への不安を抱くという事態にもなりかねません。制度変更の説明会で「では、私は続けられないかもしれません」という声が複数上がる——実際に起こり得ることです。ここは本当に慎重な対応が必要です。

課題② 保育園・福祉サービスの時間と合わない

保育園に子供を預けられる時間は、エリアによって異なりますが、おおよそ午前7時半から午後6時半あたりが一般的です。最近は保育園側でも働き方改革が進み、預かり時間はむしろ短縮傾向にあります。午前7時半から午後6時半で、計11時間。

ここで、1日10時間勤務(休憩1時間を含めると拘束11時間)の施設に勤めているとすると、通勤時間を考えれば、送りと迎えの両方を一人でこなすことは物理的に不可能です。パートナーやご家族のサポートが必須になります。以前に比べれば送迎を手伝う男性は確実に増えましたが、勤務の都合でどうしても手伝えないご家庭、あるいは手伝ってくれないご家庭があるのも事実です。

家族の介護に必要な福祉サービスについても、事情は同じです。デイサービスの送迎時間、通院の付き添い、ケアマネジャーとの面談——1日8時間の就業でも調整が厳しいのに、1日10時間の就業とは、なおさら噛み合いません。

介護領域は今なお女性の比率が高い業界です。人材が足りないのに、就業できる可能性のある方を自ら限定してしまう。 この構造的なリスクは、導入前に必ず認識しておく必要があります。

課題③ 欠員時の募集で、充足に苦戦する可能性がある

これは見落とされやすい、しかし実務上とても重要な課題です。

1日10時間型の週休3日制は、確かに他施設との差別化にはなります。求人票に並んだとき、目を引くのは間違いありません。しかし同時に、求人としてはかなり特殊な条件でもあります。

たとえば職員が1名退職し、その穴を埋めなければならなくなったとします。募集をかけるのは「1日10時間勤務・週4日」の求人です。この条件に「ちょうど良い」と感じる人が、その商圏にどれだけいるでしょうか。差別化されている分、刺さる人には強く刺さりますが、母数そのものが小さいのです。

対して、1日8時間の選択的週休3日制であれば、募集時には「週休2日正社員」「週休3日正社員」の両方で募集をかけられます。勤務時間は一般的な8時間のままなので、応募のハードルは低い。入職後に本人の希望で選んでもらえばよいのです。

つまり、1日10時間型は「差別化」と「充足のしやすさ」がトレードオフの関係になりやすい。欠員が出たときに素早く埋められないと、残った職員の負担が増え、そこからまた離職が起きるという悪循環に入ります。介護施設にとって、これは看過できないリスクです。

【結論】 1日10時間型を否定はしません。しかし、既存職員の生活変更への配慮、福祉サービスとの時間的な整合、そして欠員募集時の充足可能性——この3点をクリアできる見通しが立たない限り、まずは1日8時間の選択的週休3日制から始めることを強くおすすめします。 導入の難易度が、まったく違います。

1日10時間型の詳しい注意点はこちらの記事でさらに詳しく解説しています

デメリット4 週休2日の職員から不公平感が出る可能性がある

「あの人だけ休みが多い」という感情は、必ず生まれます。ここを甘く見てはいけません。

【対策】 対策は2つあります。ひとつは、給与・賞与に休日数がきちんと反映されていることを、導入時に全職員へ明確に説明すること。週休3日は「優遇」ではなく「選択の結果」であり、対価も相応に変わるという事実を共有します。

もうひとつは、週休2日の職員も、いつでも週休3日を選べる状態にしておくことです。「選びたければ選べる。自分は選んでいない」という状態であれば、不公平感は生まれにくくなります。逆に、特定の人だけに例外的に認める運用は、最も揉めます。選択的週休3日制は、必ず制度として全員に開くべきです。

デメリット5 情報共有・引き継ぎの精度を上げる必要がある

出勤日が減る以上、申し送りや記録の質が低いままだと、ケアの連続性に影響します。これは事実です。

【対策】 ただし、これはデメリットであると同時に、改善の好機でもあります。「誰か1人が休むと回らない」という状態は、週休3日制の有無にかかわらず、施設運営上のリスクです。記録の標準化、申し送りフォーマットの整備、ICTツールの活用といった取り組みは、週休3日制を導入するかどうかにかかわらず、遅かれ早かれ必要になります。導入を、その着手のきっかけにしてしまうのが得策です。

デメリット6 経営幹部の心理的抵抗が最大の壁になる

正直に申し上げると、週休3日制導入における最大のデメリットは、制度上の課題ではなく、経営者・経営幹部の側の心理的抵抗であることが少なくありません。

私は10年以上、こうした言葉を言われ続けてきました。

  • 「週休3日は怠け者が選ぶ」
  • 「そんな甘えた制度、うちには無理だ」
  • 「バリバリ働きたい人を採用したい」
  • 「週休3日なんて、日本を潰す」

私自身、2016年に株式会社週休3日を創業した当初、営業の電話で社名を名乗ると「なんて社名にしているんだ」「社名を変えなさい」と怒られたこともありました。

しかし、同じ経営者の方々が、こうもおっしゃるのです。

  • 「若い人が全然来ない」
  • 「採用しても、すぐ辞める」
  • 「このままでは事業が続かない」

矛盾しているように見えますが、これが今の介護業界、そして地方の中小企業の現実です。週休3日制の導入を検討するということは、まずこの心理的な壁を、経営陣自身が越えるということでもあります。

第5章 週休3日制導入を成功させる5つの設計ポイント

デメリットを踏まえた上で、介護施設が週休3日制を導入する際に押さえるべき設計ポイントを整理します。

ポイント1 「型」をそのまま導入しない

週休3日制導入を軸とした働き方改革は、決まった型を導入すれば良いというものではありません。 導入しやすい型、基本となる型はありますが、それをベースとしながら、自施設の事情とエリアの特性を踏まえた独自の設計を行うことが必要です。

たとえば、都市部と地方では通勤時間も家族構成も異なります。夜勤体制の有無、ユニット数、平均年齢、女性比率——これらによって最適な設計は変わります。1日9時間型が夜勤シフトと噛み合う施設もあれば、1日8時間の選択制以外にあり得ない施設もあります。制度設計の自由度は、想像以上に高いのです。

制度設計の自由度についてはこちらの記事もあわせてご覧ください

ポイント2 「全員週休3日」ではなく「選択制」にする

繰り返しになりますが、ここが最も重要です。全員を週休3日にする必要はまったくありません。週休2日がちょうど良い職員はそのままで良いのです。

目指すべきは、それぞれが「今の自分にちょうど良い働き方」を選べる状態です。自分のペースで働きたい20代も、育児をしている30代も、家族の介護を抱える50代も、それぞれに合った働き方ができる。その人に合った働き方こそが、生産性も、創造性も、ホスピタリティも最大化するはずです。

ポイント3 選択の変更ができる仕組みを作る

人生の状況は変わります。子供が小さいうちは週休3日、手が離れたら週休2日に戻す。親の介護が始まったら再び週休3日に。この行き来ができることが、選択的週休3日制の本質的な価値です。

半年に一度の面談で「今の働き方のままで大丈夫ですか」と聞く。それだけのことですが、この問いかけがあるかないかで、職員の安心感はまったく違います。

ポイント4 募集要項を細分化し、外に発信する

制度を作っただけでは、採用効果はほとんど出ません。求職者に届いて初めて意味を持ちます。

  • 求人票・採用サイトに「週休3日正社員」を独立した求人として掲載する
  • 採用サイトのトップページで働き方の選択肢を明示する
  • 実際に週休3日で働く職員のインタビュー記事を用意する
  • SNS・ショート動画で、若い世代が見る場所に届ける

制度と発信は、必ずセットで設計してください。

ポイント5 利用者様・ご家族向けの発信にも組み込む

第3章のメリット6で述べた通り、週休3日制は利用検討者様への差別化材料になります。パンフレット、ホームページ、見学時のご説明——これらに「働き方を選べる施設です」というメッセージを組み込むことで、「介護の質が高い」という抽象的な主張に、具体的な根拠が生まれます。

第6章 よくある質問(FAQ)

Q1. 週休3日制を導入すると、全職員が週休3日を選んでしまうのでは?

いいえ、そうはなりません。選択的週休3日制では給与が休日数に応じて変わるため、収入を優先する職員は週休2日を選びます。実際の運用では、週休3日を選択する職員は一定割合にとどまるのが通常です。また、選択できる条件や人数の上限を設けることで、運営上の調整も可能です。

Q2. 人員配置基準は満たせますか?

設計次第で満たせます。ただし、週休3日正社員を常勤換算上どう扱うかは、導入前に必ず整理しておく必要があります。ここを曖昧にしたまま進めるのが、最も避けるべきパターンです。

Q3. 介護施設で週休3日制を導入する最大のデメリットは何ですか?

制度面では、シフト作成の複雑化と給与減少への職員の不満です。しかし実際に最大の障壁となるのは、経営者・経営幹部の心理的抵抗であることが多いというのが、私の実感です。

Q4. 1日10時間勤務の週休3日制と、1日8時間の選択的週休3日制、どちらが良いですか?

1日10時間型で成功している施設もありますが、導入の難易度は高いというのが実感です。理由は3つ。既存職員の勤務開始・終了時間を変更する負担が大きいこと、保育園などの福祉サービスの時間と噛み合わないこと、そして欠員が出たときの募集で、条件が特殊なために充足に苦戦する可能性があることです。多くの介護施設では、まず1日8時間の選択的週休3日制から始めることをおすすめします。

Q5. 導入にかかる期間はどれくらいですか?

現状把握から本格導入まで、おおよそ4〜6ヶ月が目安です。試行期間を設ける場合は、1年程度を見込んでください。

Q6. 小規模な介護事業所でも導入できますか?

可能です。むしろ小規模事業所ほど、1人の離職が経営に与える影響が大きいため、定着施策としての効果は高くなります。ただし人員に余裕がない分、選択条件と上限の設計はより慎重に行う必要があります。

Q7. 制度を作れば、それだけで採用は改善しますか?

いいえ、それだけでは改善しません。制度は、求職者に知られて初めて採用力になります。採用サイトの整備(特に5年以上更新していない場合は要注意です)、AI検索への対応、SNS・ショート動画による情報発信までをセットで進めてください。「良い働き方」を作ることと、「良い働き方」を知ってもらうことは、別の仕事です。

Q8. 導入コストはどれくらいかかりますか?

制度設計そのものに大きな設備投資は不要です。主なコストは、制度設計・就業規則改定にかかる専門家費用と、発信のための採用サイト・求人整備の費用です。一方で、介護職員1人の離職には、紹介手数料・教育コスト・生産性ギャップなどを含めると相当額の損失が発生します。離職を数名防げれば十分に回収できるという考え方で、投資対効果を検討されることをおすすめします。

まとめ——週休3日制は、ゴールではなく最初の一歩

介護施設における週休3日制の導入について、メリットとデメリットの両面をお伝えしてきました。最後に要点を整理します。

【介護施設が週休3日制を導入するメリット】

  1. 「タイがカモになる」——心の余裕が生まれ、介護の質が上がりやすくなる
  2. 求人広告が効果的になる(無駄な費用を抑えられる)
  3. 定着率が向上し、離職コストが下がる
  4. シニア人材を戦力のまま引き留められる
  5. 育児・介護による離職を回避できる
  6. 利用検討者様・ご家族への強力な差別化になる
  7. 若い世代の価値観に施設側から歩み寄れる

【介護施設が週休3日制を導入するデメリット】

  1. 週休3日を選ぶと給与が下がる
  2. シフト作成・人員配置基準への対応が複雑になる
  3. 1日10時間型は、難易度が高い
  4. 週休2日の職員から不公平感が出る可能性がある
  5. 情報共有・引き継ぎの精度を上げる必要がある
  6. 経営幹部の心理的抵抗が最大の壁になる

働き方を可変してでも、良い人材とは関係性を維持する

この記事を通じて、最もお伝えしたかったことをここで申し上げます。

良い人材とは、働き方を可変してでも、関係性を維持した方が賢明です。

これは、優しさや温情の話ではありません。経営判断としての合理性の話です。

介護施設において、信頼できる職員が1人退職するということが、実際にどれだけの損失を生むか。求人広告費や紹介手数料といった目に見えるコストだけではありません。その方が積み上げてきた利用者様との関係性、ご家族からの信頼、後輩への指導、現場の暗黙知——これらはすべて、退職と同時に失われます。そして残された職員の負担が増え、そこから次の離職が連鎖していく。

一方で、その方が「週休2日は続けられないが、週休3日なら続けられる」と言っているとしたら、どうでしょうか。

労働時間は8割になります。給与も相応に下がります。しかし、10割の労働時間で0になるより、8割で残ってもらう方が、経営として圧倒的に得です。しかもその方は、心に余裕を持った状態で、質の高いケアを提供してくれます。

さらに言えば、人生の状況は変わり続けます。子供が小さいうちは週休3日、手が離れたら週休2日に戻る。親の介護が始まったら再び週休3日に。体力が落ちてきたら、また調整する。この行き来ができる施設であれば、その人は長期にわたって戦力であり続けてくれます。

柔軟な働き方でスタッフとの関係性を維持

「フルタイムで働けないなら辞めてもらうしかない」——この発想は、人材が潤沢だった時代の名残です。今は、良い人材との関係性を切らないことこそが、最大の経営戦略になっています。

働き方は可変です。可変にできる仕組みを持っている施設だけが、良い人材を手放さずに済みます。

「良い働き方」を作ったら、知ってもらわなければ意味がない

そしてもう一つ。ここは、多くの介護施設が最後でつまずくポイントです。

選択的週休3日制を導入し、素晴らしい働き方の選択肢を用意した。しかし——それを誰も知らなければ、経営的にはゼロと同じです。

制度は、知られて初めて採用力になります。ここに投資を惜しむと、せっかくの制度が「内部の福利厚生」で終わってしまいます。具体的に、次の3つに取り組んでください。

① 採用サイトを整備する——5年前のものは、もう古い

まず、自法人の採用サイトを、今すぐスマートフォンで開いてみてください。

  • 最後に更新したのはいつですか
  • スマートフォンで見て、文字が小さかったり、レイアウトが崩れたりしていませんか
  • サイトから直接応募できる導線がありますか
  • 掲載されている働き方の選択肢は、週休2日正社員とパートだけになっていませんか
  • 職員の写真は、何年前に撮ったものですか

もし5年前に制作したまま手をつけていないのであれば、それはもう古い可能性が高いです。この5年間で、求職者の閲覧環境も、情報の探し方も、期待される情報量も、大きく変わりました。特に若い世代は、ほぼ100%スマートフォンで閲覧し、応募します。パソコンでの表示を前提に作られたサイトは、それだけで機会を失っています。

採用サイトに最低限必要なのは、次の5つです。

  1. スマホ最適化(レスポンシブ対応)——若い世代はスマホで見て、スマホで応募します
  2. サイトから直接応募できる機能——電話のみの応募窓口は、それだけで離脱を生みます
  3. 働き方の選択肢を、たくさん見せる——週休2日正社員・週休3日正社員・準社員・パート・扶養範囲内パートなどを並べて掲載する
  4. 作り物でない、普段の職場の写真——ポーズを取った集合写真より、日常の様子が伝わります
  5. AI検索・SNS検索への最適化——次項で説明します

② AI検索に対応する

これは、ここ数年で急速に重要度が増した論点です。

求職者、特に若い世代の情報収集の方法が、変わりました。従来はGoogleなどの検索エンジンで調べていたものが、今はChatGPTやPerplexityといったAI検索、あるいはInstagramやTikTokの中の検索で情報を集めるようになっています。

たとえば求職者が「〇〇市 介護 週休3日 正社員」とAIに尋ねたとき、あなたの施設の名前が挙がるかどうか。ここで名前が挙がらなければ、どれだけ良い制度を持っていても、検討の土俵にすら上がれません。

AI検索に対応するために意識すべきことは、いくつかあります。

  • 自法人の情報が、構造的に整理されて公開されているか——制度、働き方、勤務時間、休日数などが明文化されているか
  • ひらがな表記への配慮——法人名や施設名が読みにくい場合、読み仮名の情報を用意しておく
  • サイテーション(言及)の量——SNSや外部メディアで自法人が言及されている量が多いほど、AI検索での表示精度・優先度が上がります

重要なのは、SNSでの発信とAI検索対策は連動しているということです。SNSで言及が増えれば、AI検索での見つかりやすさも上がる。逆に、どこにも情報がなければ、AIも紹介しようがありません。「SNSをやる=AI検索にも強くなる」という相乗効果があることを、経営陣に理解いただきたいところです。

③ SNS・ショート動画で「良い働き方」を知ってもらう

そして、SNSとショート動画です。

「うちはSNSをやっていない」という介護施設は、まだ数多くあります。しかしここで認識を改めていただきたいのは、SNSをやっていないことは「ゼロ」ではなく「マイナス」であるということです。

求職者は、応募を検討する段階で必ず施設名を検索します。そのとき、何も出てこない。職員の顔も、職場の雰囲気も、日常の様子も分からない。この状態は「情報がない」のではなく、「隠しているのではないか」「何かあるのではないか」という不安を生みます。特に、実際に働く場所を選ぶという重い意思決定において、情報の欠如は決定的なマイナスに働きます。

ショート動画が有効なのは、文章では伝わらないものが伝わるからです。

  • 職員同士がどんな表情で話しているか
  • 利用者様との距離感はどうか
  • 建物や設備の実際の様子
  • 「週休3日で働いています」と話す職員の、生の言葉

そして重要なのは、若い世代に届く動画は、若い世代が作らないと難しいということです。経営者や管理職の感覚で作った動画は、どうしても「企業広報」の匂いがしてしまい、スクロールの中で止めてもらえません。可能であれば、若手職員を巻き込んで内製化を目指すか、若い世代が制作に関わる形を取ることをおすすめします。

制度(良い働き方)×発信(知ってもらう)。この掛け算が成立して初めて、週休3日制導入のメリットは経営数値として現れます。 どちらか一方だけでは、残念ながら効果は限定的です。

介護施設における週休3日制導入 最新事例

以下は株式会社週休3日で導入支援をさせていただき、2026年から週休3日制導入をされた事業所様の最新事例です。週休3日制導入など「選ばれる働き方」を整備するだけでなく、採用Webサイト、SNS・ショート動画の整備も実施しました。(上手く行きすぎではありますが)整備が完了して(SNSのアップを開始して)、広告をかけていない状態で1ヶ月ほどで複数の求人応募・問い合わせが発生しました。

おわりに

週休3日制は、ゴールではありません。

目指しているのは、その先にある状態です。自分のペースで働きたい20代も、育児をしている30代も、家族の介護を抱える50代も、それぞれが「今の自分にちょうど良い働き方」を選べる。その人に合った働き方こそが、生産性も、丁寧さも、思いやりも、最大限に引き出します。

私は現在、自社の経営に加えて複数の介護施設の経営にも携わっています。物価高、収益へのプレッシャー、業界共通の採用・定着難。綺麗事では済まない現実に、一人の経営者として日々向き合っています。採用にせよ定着にせよ、「選択的週休3日」と「ちょうど良い働き方」がなければ、私自身の施設運営もとっくに立ち行かなくなっていた、というのが偽らざる実感です。

そしてこの状況は、もはや日本中のどの介護施設、どの医療機関にも共通するものではないでしょうか。

私たちは、完成された成功者として上から助言をする立場ではありません。今も同じ悩みを抱える経営者として、伴走できること。 それが、私たちの何よりの強みだと考えています。

全職員を週休3日にする必要はありません。まずは、選択肢を一つ増やすところから。そして、それを外に伝えるところまで。それが、「ちょうど良い働き方で、安心して働き続けられる介護施設」への、最初の一歩になるはずです。

株式会社週休3日は、介護施設の「採用できない」「定着しない」「若い世代の応募がない」を解決する人事 採用支援会社です。

週休3日の社名で創業10年。「週休3日」と「介護事業」にどこよりも詳しい専門家が、選ばれる働き方開発(週休3日制導入支援)、次世代型採用サイト、SNS・ショート動画で採用と定着の課題を可決します。

週休3日制導入支援

講師依頼・メディア

この記事を書いた人

週休3日の専門家
永井 宏明 / Hiroaki Nagai
株式会社週休3日 代表取締役

印刷広告代理店営業、WEBコンサルを経て、静岡県の地域密着企業で週休3日総務課長で転職。人事・総務として10年勤務。同法人で介護施設の施設長に就任。8年間施設長を務め、多くの見取り(終末期)をコーディネート。同介護施設で週休3日制導入し6年間運用。その後、株式会社週休3日を創業し、2017年から事業開始。週休3日正社員という働き方の選択肢を広げる活動を続ける。2022年7月、クリニックからの事業承継により認知症グループホームの経営に参画。子供4人、共働き、育児パパ。趣味は演劇。作・演出 作品で静岡県芸術祭賞 他受賞。