進む人口減少を背景に、Z世代など若い世代が地方から急激に減少していく現代の労働市場では、若い世代を惹きつけるために、従来の採用戦略を見直す必要があります。その上で重要になるのが若い世代の働き方に対する考え方です。若い世代の希望を全て受け入れることはできませんが、採用に向けて譲歩することも必要かもれません。
今回はZ世代など若い世代を中心に関心が急上昇している「副業」と「週休3日制」の導入について取り上げたいと思います。この2つの制度がなぜ重要なのか、そして企業が直面する人手不足の解決策としてどのように機能するかを探ります。
1. 副業と週休3日制の現状
1.1 若者が魅力を感じる週休3日制
Z世代など若い世代に限らず週休3日制に関する関心は高まっています。株式会社週休3日が2021年に実施した22歳から35歳を対象とした働き方アンケートにおいても「仮に転職先を探す場合、週休3日という選択肢がある方が魅力的に感じますか?」という質問に対し「とても魅力的」が54.3%、「少し魅力的」が39.9%と、日に94.2%が週休3日という選択肢がある企業の方が魅力的に感じている、との回答が出ています。
また同アンケートにおいて「あなたが最も魅力的に感じる働き方を教えてください。」という質問に対し、28.7%が「週休3日正社員(8時間×4日)給与は8割」と回答しています。つまり若い世代の中には「給与が下がっても週休3日がいい」という方が全体の4分の1以上いることです。
大手求人メディアでも同様のアンケートを定期的に行っています。その結果を受けたプレスリリースにおいては「給与が下がるなら週休3日に対しては否定的な人が全体の70%以上」というような切り口で発信しています。これは視点が違うだけで、どちらも似ている情報を発信していると株式会社週休3日では捉えています。つまり4分の3は(給与が下がるなら)週休3日正社員に否定的であるが、4分の1程度は(給与が下がるとしても)週休3日正社員に肯定的だということです。4分の1が多いと見るか少ないと見るかですが、人口が減少し、若者が減っていく時代を考えれば絶対に無視できない数だと思います。
1.2 若者が魅力を感じる週休3日制
Z世代などの若い世代にとって、副業と週休3日制は、自身のキャリアやライフスタイルに柔軟性を持たせる重要な要素となっています。この世代は、仕事だけでなく、個人的な情熱や副業を通じてスキルアップを図りたいと考えており、そのためには時間的な余裕が必要です。週休3日制は、副業や自己啓発、趣味など、仕事外の活動にもっと時間を割くことができるため、働き方の柔軟性を重視する若い世代にとって魅力的な選択肢となっています。
2. 採用における「副業OK」と「週休3日制」の効果
副業OKと週休3日制を導入することは、企業にとっても大きなメリットがあります。このような制度は、働き方の柔軟性を求めるZ世代などの若い世代にとって大きな魅力となり、才能ある若者を惹きつける要因になり得ます。特に、革新的なアイデアや新しい技術に敏感な若い世代は、企業にとって貴重な資源です。彼らが求める働き方の柔軟性を提供することで、企業は優秀な人材を確保し、組織内のイノベーションを促進することが可能になります。
3. 「副業OK」と「週休3日制」の導入に必要なこと
副業OKと週休3日制を効果的に取り入れるためには、企業文化の変革が求められます。まず、副業を認めるポリシーを明文化し、どのような副業が許可されるのか、どういった場合に企業の利益に反するのかを具体的に定義する必要があります。また、週休3日制については、業務の効率化や目標管理の方法を見直し、社員が限られた労働時間内で成果を出せる環境を整備することが重要です。これらの制度導入にあたり、従業員との積極的なコミュニケーションを通じて理解と協力を得ること、そして変更に対する柔軟な対応を心がけることが、成功の鍵を握ります。
4. 「副業OK」と「週休3日制」導入に向けた課題と対策
副業や週休3日制の導入に際しては、社内での公平性維持と業務の連続性を確保することが大きな課題です。これを克服するためには、まず副業を許可する範囲を明確に定め、どのような副業が許可されるのか、どの職種で副業が可能なのかを具体的に規定することが重要です。また、週休3日制を希望する社員に対しては、業務量を適切に調整し、成果に基づく評価制度を導入することで、個々の社員の働き方の柔軟性を高めつつ、全体としての業務効率も保つことが求められます。これにより、社員一人ひとりのワークライフバランスの改善とともに、組織全体の生産性向上にも寄与することが期待されます。
5. 「副業OK」と「週休3日制」の導入にあたっての法的観点
副業や週休3日制を導入する際には、労働基準法の遵守が必須です。副業に関しては、従業員が競合する業務に従事しないよう競業避止義務を明確に定めることが重要です。また、企業秘密を守るための秘密保持契約の見直しも必要になります。週休3日制を導入する場合は、労働時間の短縮が労働基準法に則っているか確認し、必要に応じて残業規制の適用範囲を調整することが求められます。これらの法的要件を遵守することで、企業は副業や週休3日制を円滑に導入し、従業員との間で生じうるトラブルを未然に防ぐことができます。
6. 経営者・採用担当者の役割
現代の労働環境では、特に若い世代を対象とした副業OK・週休3日制の導入は、企業が直面する人材獲得の課題に対する有効な解決策となり得ます。このような施策は、Z世代などの若い世代が価値を置く柔軟な働き方を提供し、彼らの創造性やモチベーションを最大限に引き出すことができます。経営者や採用担当者は、これらの制度を慎重に検討し、組織の文化や戦略に合わせて適切に実装することが重要です。そうすることで、長期的な視点から企業の競争力を高め、持続可能な成長を実現することが可能になります。
7. まとめ
副業OK・週休3日制は、現代の労働市場において企業が若い世代の優秀な人材を惹きつけ、維持するための重要な手段です。これらの制度を効果的に導入することで、企業は多様な才能を引きつけることができるだけでなく、従業員の満足度と生産性の向上を図り、結果として企業全体の成長と発展を促進することができます。企業は、これらの施策を通じて、変化する労働市場のニーズに応え、未来への投資としての人材育成に注力することが求められます。